2021.09.06
弊社は主にかせ糸の染色を行っているのですが、かせ糸染めには必ずかせ繰り(糸巻き、コーンアップともいいます)が必要となります。かせ糸のままだと糸が絡んで編むことができないため糸がスムーズにでるよう紙管に巻き取ります。
かせ糸は糸がバラバラにならないように止めておく”ヒビロ”という糸でまとめています。このヒビロがとても重要な役割をしており、このヒビロがなければ糸を巻くことが困難となります。また数本あるヒビロのうちの一本には、最初となる巻き始めの糸端(表)と、最後の巻き終わりとなる糸端(裏)が止められています。
かせ糸には”あや”とよばれる糸道があります。糸・・・あや・・・そうです、あやとりの”あや”です。かせ糸をかける枠にセットする際にこのあやをきちんと出すことでかせ繰りがスムーズに行えます。釣りのリールがわかりやすいと思いますが、糸を左右に振り分けながら巻きますよね。あれが振り分けずに一箇所だけで巻くと大変なことになります。振り分けることで”あや”ができるから釣り糸もスムーズに出ていきます。染めでグチャグチャになったあやをきれいに出すことでスムーズな巻き取りができます。あやとりをサボると途中で切れたり絡まったりと大変なことになり、最悪の場合、最後まで巻き取ることができなくなります。かせ繰りはこの”あやとり”の作業が一番重要となります。
かせ繰りを行う際に糸が走る道筋ににローワックス(蝋)を設置して、糸にワックスを付着させます。糸を編む時に編み機との平滑性をよくするためです。ローワックスには様々な種類があり素材や用途に合わせて選びます。また気温が高い夏場は溶けやすいため固め、逆に寒い時期は柔らかめと季節や気候に合わせて付着料を考えて使用します。適度な付着量が必要で、なんでもいいからとにかく多くつけてれば間違いない・・・は、編み機が詰まる原因となります。
糸には様々な種類があります。そしてそれぞれの顔があり特徴があります。単純に糸巻きといっても組成の特徴を最大限に活かす巻き方がそれぞれあります。巻き方ひとつで編みあがる製品に大きな違いが出てきます。弊社はできる限りより良い製品を作っていただけるよう、またニッターさんが使いやすい糸をご提供できるよう、糸の特徴に向き合って日々がんばっております。
TOP